いつも眠たい

バタバタワーママのあの頃のことや今のこと

 本サイトはプロモーションが含まれています

【あの頃】リーガロイヤルの思い出

f:id:sleepingsleeping:20181201230329j:plain

先日、仕事でセミナーを聞きに中之島リーガロイヤルホテルに出向いた時の話。

13時、ランチは会社の近くで食べて来て14時からのセミナーまで時間が空いてしまって、ロビーで待たせてもらうことにした。

平日のリーガロイヤルホテルなんて、はじめてだったけど、みんなきれいに装っていて、生活感を感じなかった。

同じ子持ちの、きっと専業主婦の方々がベビーカーを押しながら、歩いていた。
私も結婚するまでは同じ選択肢があったかもしれない。
専業主婦になりたい訳じゃないけど、旦那さんが稼ぎがよくて、昼からリーガロイヤルでママ友とおしゃべりする自分の選択肢はきっとあったと思う。
それを選択しなかったのは他でもない私です。

そんな違う世界の住人のようなママさん達を見て、バタバタと会社を出てきてしまった自分は大丈夫かな?と少し不安になった。
場違いじゃないかな、と。

化粧が崩れてないかな、と化粧室に向かった。
化粧室に迷わず足が向かって、以前、よくこのホテルに来ていた時のことを本当にふと思い出した。


あれは、私が大阪に来てすぐの頃だった。
ある海外アーティストのファンという繋がりでネット上で仲良くなった一回りは年上の(正確な年齢を知らないけれど)女の人。 

実際に会おうとなって、現れたのは黒髪が綺麗で、上質な服や鞄に身を包んだ、細身の綺麗な人だった。
今思えば私は大阪に出てきたばかりの田舎者で、きっと出会った時、クソダサかったと思う。

それでも、多分気に入ってもらえたんだと思う。
その日出会ってから数年、数ヶ月だったか?忘れてしまったけど、私たちは変な関係になった。

今思えば、本当に謎なんだけどうまい言葉が見当たらない。

良くご飯に行くようになって、そしてその内週末は必ず、その人の部屋で過ごすようになった。
その人は独り暮らしだけどマンションを買っていた。

そしてその週末の朝。
その人は私をリーガロイヤルホテルのモーニングを食べにつれてってくれた。
正確に言うとリーガロイヤルホテル内の喫茶店のモーニング。(だったと思う)

イギリス式のアフタヌーンティーの際に使われるような三段重ねのお皿にキッシュやサンドイッチ、スコーンにジャムなんかが乗っていて、田舎者の私はその雰囲気だけで満足だった。

その人は、センスがよかったんだと思う。
ブランド品も沢山もっていたけど、品があったし、映画も良くわからないフランス映画なんかを教えてくれた。

就職で出てきた私は友達もいなくて、毎週その人と過ごした。
フォカッチャが美味しいという、ここが本当に店なの?と言うようなお店にも連れて行ってくれた。
これぞ、隠れ家!って感じのお店。

北新地のお店もその人に初めて連れて行ってもらった。
ハモのお茶漬けが〆に出てくる美味しいお店。
帰りの会計の時に、今は亡くなってしまったけれど有名な芸能人の方もいてびっくりしたのを、まだ覚えてる。

ブランドのローンチパーティーになぜか同席させてもらった事もある。
マスコミなんかも来ていて、世界が違うなーと感じた。

これって、なんだろ?

私みたいな田舎から出てきたオボコイ女を育ててる感じがしてのが楽しいのだろうか?

と思っても、それ以上もなかったし、その頃の私には、こんなに居心地の良い場所を手放したく無いという気持ちの方が勝っていた。


その人との関係がギクシャクし始めたのは、大学の同期が大阪に移動になって、家が近くなってからだ。

友達なんかいなかった私のところに友達が来たのだ。

そりゃ、誘いも増える。

そして、私もその友達を通じて知り合った男性と連絡を取り合うようになってしまった。

最初は男の人よりも、その人との約束を優先していた。勿論。
なんかお互い値踏みし合いながら、探り合いをするような時間より、その女の人との落ち着ける時間の方が心地よいのは当たり前だ。

でも、ポロっとこぼしてしまったのだ。
彼女とご飯を食べてる最中に。

彼氏ができそうです。

と。


その時は何の反応もなかった。
赤ワインを飲んで、

先を越されたわ。

と言っただけ。
でも、その時から明らかに呼ばれる回数が減った。


そして2ヶ月後、その時は最後になるとは思ってもみなかったけど、最後の連絡が来たのだ。

引っ越しをするから、要らないものもらってくれると嬉しい、と。


引っ越し。。。
今思えば明らかにフラグなんだけれども、その時は全く気づかなかった。

あ、引っ越しするなら何かお祝いにケーキでも買っていこう。
そう思っただけ。


そして、部屋につくともうほとんど荷物はなかった。

売るのが大変だった、とその人は笑っていた。
そして、もうほとんど次の部屋に荷物は移していてその日の夜には空にする予定だと言った。

この辺りが似合うと思って置いといたの。
と、案内された先には、ディオールのブルゾンと、プラダの鞄、そして、ジミーチュウのリトルブラックドレスがあった。


こんな良いものもらえません、と辞退したけど、結局は押し付けられるような形で受け取らせてもらった。


新しい部屋はどの辺りなんですか?

と聞くと、

駅で言うと○○ね。
ややこしいからまた地図おくるわ。

と言っていたのに。
その人とは、その会話が最後になってしまった。


もし、あの時彼氏ができそう何て言わなければ。
私はもしかしたら昼からリーガロイヤルホテルで過ごすような今を生きていたのかも知れない。


あの人はどうしてるんだろう。
結婚したんだろうか。
もしかしてまた違う女性と過ごしているだろうか。
仕事も本名すらも知らないままだった。
こんな私に沢山の事を教えてくれたのに、ありがとうも言えずに音信不通になってしまった。


紛れもなくあの時間は本物だったのに、証明できるものが、最後にもらったモノ達しかないなんて。


あれから5年は経った。
リーガロイヤルホテルのロビーを見渡した。

携帯のアラームが鳴った。
予定の15分前を知らせるスケジュールアプリのリマインダーだった。

きっとセミナーが終わればあの人のことはまた私の記憶の奥に沈んで、しばらくは浮上してこないだろう。
日々バタバタとワーママをしているんだし。

でも、完全に忘れてしまうには少しさみしい、私のリーガロイヤルでの思い出。